ある患者さんの経過

先日受診された20代の男性患者さん。ピロリ菌を調べて欲しいと受診されました。

「保険診療で検査をするには内視鏡検査(胃カメラ)が必要ですよ」と伝えたところ、「それだけは絶対にしたくない」と

ピロリ菌を調べる方法は?

ピロリ菌を調べる方法は、血液検査、尿検査、便検査、尿素呼気試験(薬を飲む前後で吐く息の成分の違いを測定)、他にも内視鏡検査の時にできる検査など各種あります。

この患者さんには、現職場で採用している健診の血液検査項目にピロリ菌検査があるため、こちらを勧めました。 開院予定の当クリニックでは血液検査は外部委託で、クリニック内でできる検査として尿素呼気試験の導入を予定しています。なお尿素呼気試験は血液検査と違い薬を飲んだ後、ピロリ菌が消えたかどうかの判定にも適しています。

結果が陽性であった場合

健診でピロリ菌検査を受けて頂いた結果は「陽性」でした(ピロリ菌がいるということ)

ピロリ菌は1週間薬を飲めば90%以上の確率で除去することができます。ここでも薬を処方するには内視鏡検査が必要なことを伝えました。

患者さんは「全額自費でもいいから内視鏡検査は受けたくない」とおっしゃっていましたが、年齢から可能性は低いも胃癌などの病気をチェックすることの重要性を説明し、検査予約をしていきました。

内視鏡検査後のスケジュール

不安の強い患者さんで、直前までとても緊張していましたが、声かけを中心にできるだけ不安をとるための工夫を行いました。

結果的には食道に内視鏡が入った直後のみ少しむせこみましたが、その後はゲエゲエ感もなく無事に検査終了。胃癌などはなく、ピロリ菌に伴う慢性胃炎のみでした。

検査後、朝夕1日2回、3種類の薬(除菌薬)を1週間処方しました。2ヶ月後に尿素呼気試験を受けに外来を受診しにきてもらう予定です。仮にピロリ菌が残っていた場合は薬を変更し1週間内服。同じように1〜2ヶ月以上あけて尿素呼気試験を受けて頂きます。これで約98%の方が除菌できます。それでも消えない稀なケースでは保険治療外で治療するかどうかの相談になります。

まとめ

ピロリ菌の検査・治療を保険診療で行うには内視鏡検査(胃カメラ)が必要です。胃癌の99%以上はピロリ菌感染者で、感染していない人と比較し、胃癌リスクは15倍以上と報告されています。一度、ピロリ菌のチェックはしておきましょう。