意味がピンとこない題名と思います。今回は大腸カメラ(内視鏡)をお尻から入れてどのように進めるのかイメージしてもらうために大腸カメラの挿入について基本的なことを書きます。
大腸は150cm程度の内臓ですが、大腸カメラを入れる時はただ押して入れるのではなく、大腸を縮めてたたむ様に入れていき、結局奥(盲腸)まで70cm程度の長さにします。どういうことかというと大腸の一部はゴムのように伸び縮みする箇所があり、ただまっすぐ押し続けても腸が伸びるだけで奥に進みません。そこでカメラ(内視鏡)をうまく使って大腸を縮めながら入れていくわけです。そうやって縮めて大腸カメラを入れる感じがくつ下をはくイメージに似ています。これが題名とつながります。別にくつ下ではなく、最初に縮ませながら使用するものなら、ストッキングでもなんでもよかったのですが・・・
どうやって縮める?
大腸の伸び縮みする箇所は、内視鏡を押さないで大腸の中の空気を吸うことにより、大腸を引き寄せて内視鏡を進ませることも多いですが、一般の方にわかりやすく例えると365歩のマーチの「3歩進んで、2歩下がる」のイメージです。ちょっと進めて先端を引っ掛け、内視鏡をを引く動作で大腸を縮める感じです。
大腸カメラで痛みが出やすい人は?
大腸カメラで痛みが出る方はこの大腸の伸び縮みがうまくいきにくい方です。具体的には手術後や憩室炎(けいしつえん)などの炎症後に「癒着(ゆちゃく)」といって腸の外側の膜がくっついてしまうと伸び縮みがしにくくなります。また腸が長い方も縮める作業が難しく痛みが出やすくなります。ただし痛みの感じ方は個人差が大きく、男性より女性に多い印象です。男性で内臓脂肪の多い方は腸が動けるスペースが多いのか、大腸が伸びやすく内視鏡を入れにくいのですが、強い痛みを訴える方はそれほど多くない印象です。
腸が伸び縮みするのはS状結腸、横行結腸
もう少しだけ詳しく知りたい方がおられるかもしれないので追加しますが、今まで書いてきた大腸の伸び縮みする箇所はS状結腸と横行結腸と呼ばれる部位です。ここが自由に動き伸び縮みしやすい場所なので、内視鏡検査をする医者はここをいかに縮めるか工夫しながら大腸カメラを入れます。腸が長くて大腸カメラが入りにくかった方はこのS状結腸と横行結腸のどちらか、もしくは両方が長い方だと思います。大腸カメラの経験者で検査中におなかを押された方がいると思いますが、押していたのは主にこのS状結腸か横行結腸のどちらかです。またS状結腸と横行結腸のつなぎ目は角度が急になることも多く、そこを超える時に手前の腸が伸びてしまい痛みが出やすくなります。
痛みを出にくくするには
以前に書いたブログの胃カメラの時と違い、大腸カメラは検査を行う医者の技術で痛みの出方は変わってしまいます。一般の方は判断が難しいですが、大腸カメラの上手な先生にしてもらえると幸運です。もうひとつの方法は痛み止め(鎮痛薬)を使用することです。方法は腕から点滴のくだを入れて、痛み止めや眠たくなる注射薬を入れます。施設によって使用する薬の種類や量は変わります。一般的には緊張のため検査中は意識がありますが、検査後はホッとして眠ってしまう程度の量を使用します。私も噂や口コミを気にする開業医になってからは勤務医の時より薬を使用して大腸検査をすることが多くなりました。男性は薬を使用しないことが多いですが、女性は検査に対する不安が強い方が多いので使用することが多くなります。
まとめ
大腸カメラの検査は大腸をうまく縮ませて(たたんで)奥に入れていく検査です。癒着(ゆちゃく)があったり腸が長かったたりすると大腸がうまく縮まず痛みが出ることもあります。実際に大腸カメラをしないと癒着や腸の長さなどはわからないことが多いので、検査に不安の強い方は痛み止めや眠たくなる薬を相談してみてください。一度大腸カメラを受けてみましょう。