今回は趣向を変えて問題を出します。毎年、日本内科学会でセルフトレーニング問題集というのが出題され、会員の医者は自宅などでそのテストを受けることが多いのですが、その中の1題です。
問題 (大腸がんの写真が提示されていて)この疾患の発症率を低下させるのはどれか。1つ選べ (a) 赤身肉 (b) 加工肉 (c)肥満 (d)飲酒 (e)運動
答えは、理由はなんとなくでも正解の(e)運動を選べると思いましたが、いかがでしたでしょうか? 解説では国立がんセンター 社会と健康研究センターのこちらのサイトを参考にしていました。http://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/index.html
大腸がんに関する食物や生活習慣の研究結果
大腸がんになりやすい因子 ①飲酒が確実にリスク上昇 ②肥満がほぼ確実にリスク上昇 ③喫煙・糖尿病・加工肉・赤身肉がリスク上昇の可能性あり
大腸がんになりにくい因子 ①運動がほぼ確実にリスクを低下 ②食物繊維・カルシウム・魚由来の不飽和脂肪酸がリスクを低下させる可能性あり
データ不十分だったもの
高身長、野菜、果物、コーヒー、穀類、牛乳・乳製品はデータ不十分とのことです。今回この内容にしようと思ったのは、今まで生活習慣病のブログで「野菜・果物」がいいと書いてきており、がんにとっても良いのかと私自身思っていましたが、大腸がんおよびがん全体としては明確には良い結果は出ていなかったのですね。ただし、前述の国立がんセンター 社会と健康研究センターのサイトでもまとめられていますが、野菜・果物は胃がん、肺がん、乳がんの一部には予防的効果があるそうです。また野菜・果物を意識することは結果的にがんのリスク因子である肥満の改善にもつながりますね。
まとめ
がんは遺伝的要因、加齢、環境要因など複雑に関係していることがほとんどですが、その中で食物や生活習慣も影響されることが多いと考えられています。生活習慣病を予防することががんの予防にもつながることを意識しましょう。