胃カメラ208件、大腸カメラ109件でした。今月も検査日の変更やキャンセルがたいへん多く、インフルエンザとコロナを主とした感染症が流行している印象を受けています。胃カメラのネット予約で予約枠がポツンとひとつ、ふたつ空いている場合はキャンセルによるものですので、もし都合が合えば予約をご検討ください。

今月の症例は1例のみです。50歳女性の胃カメラ検査で胃体下部前壁に小さな白色の陥凹病変を認めました。なお、背景粘膜はピロリ未感染でした。

矢印の部位に小さな白色の陥凹病変を認めます

近接像

NBI

こちらでも2度取り上げたピロリ未感染の胃に生じる印環細胞癌の可能性もあると考え、生検を行いました。

結果は粘膜の一部にリンパ球が集まり、腺管がリンパ球によって壊れていました。免疫染色が追加され、胃MALTリンパ腫と確定診断されました。MALTリンパ腫とはリンパ組織節外性辺縁帯(extranodal marginal zone)からの粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue : MALT)由来のリンパ腫で、B細胞性および発育が緩徐な低悪性度リンパ腫の一つに分類されています。MALTリンパ腫は消化管においては70〜80%が胃原発であり、結腸・直腸が約20%、十二指腸・小腸原発は稀となっています。MALTリンパ腫は慢性炎症を基盤として発症する低悪性度リンパ腫ですが、ヘリコバクター・ピロリが主要な病因となっています。ピロリ陽性の場合は除菌療法によって80%くらいが完全寛解すると言われています。この患者さんは尿素呼気試験でも確認しましたがピロリ陰性であり連携医療機関に紹介しました。後日、精査後に患者さんと相談の結果、経過観察になったと返事をもらっています。来月は今月の疾患と関連した症例を載せる予定です。1月31日にUPする予定ですので、お時間ある方は読んでみてください。