胃カメラ196件、大腸カメラ112件でした。仕方ないですが天候が荒れた日は、キャンセルが多くありました。予約状況は平日であれば3~4週間待ちになっています。札幌市内では内視鏡検査を積極的に行なっているクリニック、病院も増えているようですので、できるだけ早く検査をしてほしい方はネット中心に他の医療機関を検索されると良いと思います。

今月の症例は血便が1年以上続いていた診断時38歳女性の大腸内視鏡検査です。S状結腸から直腸にかけて多発する白色顆粒状所見を認めました。

直腸 白色顆粒状隆起が連続しています

直腸でのスコープ反転画像

生検を行いました。

リンパ球により腺管がなくなっている領域を認めます

腺管がリンパ球によって壊されています

リンパ球による腺管の破壊像を認め、免疫染色が追加され、大腸MALTリンパ腫と診断されました。多発ポリープ型(multiple lymphomatous polyposis : MLP)と呼ばれる形態です。MALTリンパ腫はピロリが陽性であれば、除菌療法が第一選択となりますが、この患者さんはピロリ陰性でした。ピロリ陰性でも除菌療法が効果を認めたとの報告があり、血便症状が続いていたことからすぐに除菌療法を行いました。除菌療法後、症状が改善していき、1ヶ月後にはまったく血便を認めなくなりました。10ヶ月後の今月、大腸内視鏡検査を再検しました。

白色顆粒状隆起はほぼ消失していました。生検をしたところ、少しリンパ球による腺管の破壊像は認めており、完全寛解には至っていませんが治療は有効でした。ただし、稀に進行性のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)に形質転化したり、病期が進行する症例があるそうなので、経過観察は続けることを患者さんに伝えています。来月は今月と似ている直腸に白色顆粒状隆起を認める別の症例を載せようと思っています。