胃カメラ204件、大腸カメラ111件でした。今月はキャンセルが過去一番多かったですが、もともと予約されていた方がネットで空きを見つけて変更されたり、診察のみで来院された方に空いた枠での検査を勧めたりして、実際に検査をしなかった枠は少なくおさえられたと思います。
ただ、予約をしたあとWEB問診が入力されていないため、こちらから何度か連絡をしてもつながらず、実際に検査当日も来院されないという方が何人かいるのをいつも不思議に思っています。飲食店の無断キャンセルにくらべたらダメージは小さいですが、その枠で他の方が検査できる可能性があったのにといつも残念に思ってます。また予約を変更したあとに古い予約をキャンセルされず、こちらが気づくまでそのまま2重で予約されているケースがあり、ネットでのキャンセルの仕方がわからなければ電話かメールでもいいのでキャンセルの連絡がほしいと思うことが時々あります。

予約キャンセルのネガティブなことを書きましたが、少し前にブロブで書いた腸管出血性大腸菌0157による腸炎と同じようにキャンセルで空きがあったおかげですぐに大腸内視鏡検査を行い診断がついたケースもありました。今回は18歳女性で下腹部痛、1日6回以上の下痢、そして血便が5日間続いているとの主訴で当クリニックを受診されました。ちょうどキャンセルで受診の2日後に大腸内視鏡検査の空きがあり、本人も同意されたため大腸内視鏡検査を行いました。いったん奥まで挿入している最中は潰瘍性大腸炎かな?と思っていましたが、回盲弁という小腸と大腸のつなぎ目に浅い潰瘍を認める典型的なカンピロバクター腸炎でした。後日、便培養でカンピロバクターが証明されています。

カンピロバクター腸炎は加熱不十分な肉、特に焼き鳥など鶏肉を摂取したあと数日の潜伏期間を経て、発熱、腹痛、下痢症状などを認めますが、今回の症例のように血便を認めることもあります。ちなみに本症例の原因となった食べ物は牛レバーでした。抗菌薬服用にて早い治癒が期待できますが、多くは自然治癒されると言われています。しかし、稀に菌血症から心内膜炎や骨髄炎などの腸管外病変や下痢症状から数週間遅れてギラン・バレー症候群という運動神経麻痺を起こす神経障害を発症することもあるため注意が必要です。腸管出血性大腸菌の時と同じ結論ですが、生焼けのお肉は避けましょう。

奥まで挿入している時には潰瘍性大腸炎かな?と思ってました。生検でも潰瘍性大腸炎としても矛盾しないとの結果でしたので、今回みたいなカンピロバクター腸炎に典型的な所見がなかったとしても便培養を行うのを忘れないことを再認識しました。

こちらは過去に経験した別の患者さんのカンピロバクター腸炎です。この時は回盲弁の炎症がさらに強く、検査時にも出血していました。