胃カメラ196件、大腸カメラ118件でした。直前のキャンセルも一定割合であったため少し件数は落ちましたが、年内の予約はすべて埋まっており、すぐに内視鏡検査ができない状況で申し訳ございません。徐々に予約の入るペースが落ちている印象ですので、年明けからは予約が取りやすくなると思っています。

今月は好酸球性食道炎と診断した患者さんが4人もいました。うち1人は過去に当クリニックで検査をしておりましたが見過ごしていました。最近はわずかな好酸球性食道炎の所見でも目にとまるようになったので、診断する機会が増えていると思います。

話は変わりますが、少し前に経験した77歳男性患者さんの内視鏡画像を提示します。

画像の中心から上の方でくぼんでいるところが憩室(けいしつ)と呼ばれるもので、大腸などではよく見られるものですが、こちらは咽頭食道憩室といって、食道に入ってすぐのところにあった憩室です。知識としては知っていましたが、調べてみると思っていた以上にめずらしかったので載せてみました。検査後に患者さんに得意げに「よくつかえたり、むせこんだりすることはないですか?」と聞きましたが、患者さんは不思議そうな顔で「??? 特にありません」・・・ということで、無症状なので何もせず経過観察となりました。
咽頭食道憩室にはいつくか種類があり、その中では最も多いZenker(ツェンカー)憩室と呼ばれるものだと思いますが、画像では食道のやや右壁側にあるので左側に多いZenker憩室の中でもめずらしいタイプだと考えました。CT検査や食道造影検査などをしていないので、他の咽頭食道憩室であるKillian-Jamieson(キリアン-ジャミソン)憩室など、そもそもが間違っているかもしれませんが・・・
この患者さんには症状はありませんでしたが、症状のある患者さんは手術や、近年は経口内視鏡的憩室中隔筋層切開術(Z-POEM)という内視鏡治療が行われているそうです。

また、食道憩室は主に3ヶ所に発生することが多く、ひとつは先ほど述べた咽頭に近い食道、他の2つが気管分岐部と横隔膜上の食道に発生するものです。過去に当クリニックで経験した他の2つの食道憩室も載せます。

上の内視鏡画像が気管分岐部憩室です。憩室には組織学的に全層が突出した(筋層のある)真性憩室と筋層のない仮性憩室に分かれますが、私が過去に受けた何かの試験問題で真性憩室を選ぶ問題があり、この気管分岐部憩室が答えだったのが記憶に残っています。

次が横隔膜上憩室です。画像の右側に小さな憩室があり、その左奥が食道胃接合部になっています。この患者さんの検査をした時には憩室に関係する自覚症状はなかったので気にしていませんでしたが、今回調べてみると咽頭食道憩室と同じくらいめずらしい憩室でした。

これからもちょっとめずらしい疾患を経験した際にはホームページに載せていこうと思います。