胃カメラ204件、大腸カメラ128件でした。ここで何度も予約キャンセルのことについて書いていますが、最近もキャンセルが多いため説明させてもらいます。検査日直前にキャンセルとなったり、連絡もつかず予約時間に来院されない方は事前のWEB問診を入力していないことが多いため、胃カメラでは2日前までにWEB問診が入力されていない患者さんにこちらから電話連絡をしています。大腸カメラは原則1週間前までとしている事前受診が済んでいない患者さんに連絡しています。そこで繋がらない方はメールアドレスがわかっていれば院長が直接メールしていますが、それでも連絡がつかない場合はこちらでキャンセル扱いにしています。胃カメラと大腸カメラを同日に予約される場合は、数日前にキャンセルされると検査枠が大きく空いてしまい大腸カメラの時間帯では代わりの検査予約も入りにくく、検査枠が無駄になってしまいます。特に当院が初めての方は最初に胃カメラ検査を大腸カメラの事前受診もかねて受診してもらい、後日大腸カメラを受けてもらうという流れを勧めさせてもらっています。
今月の症例は先月の最後に提示した大腸黒皮症(偽メラノーシス)と似ている画像になります。62歳女性で下痢と便秘を繰り返すとの主訴で大腸内視鏡検査を行いました。
大腸黒皮症(偽メラノーシス)の場合は、大腸の部位によって色素沈着の程度に差はあるものの、大腸全体に所見が認められることが多いのですが、今回は挿入の途中までは普通の大腸粘膜の色調だったものが、上行結腸に挿入した途端に急に黒っぽい色調(青銅色)に変化しました。患者さんは鎮静薬で眠っていたので、検査中にスタッフにカルテを確認してもらったところ、更年期障害の治療のため、加味逍遙散(かみしょうようさん)という漢方薬を婦人科クリニックから処方されていたのを確認できたので、特発性腸間膜静脈硬化症と診断しました。生検を行いましたが矛盾しない結果でした。あとから考えると当クリニックでも施行可能な腹部レントゲン撮影を行い腸間膜静脈の石灰化像の有無を確認しておけばより良かったと思いましたが、この日は機転がきかず検査しておりません。
特発性腸間膜静脈硬化症は大腸壁内から腸間膜の静脈に石灰化が生じ、静脈還流の障害によって腸管の慢性虚血性変化をきたす疾患です。漢方薬の長期服用、特に5年以上のサンシン含有漢方薬の服用が原因の一つとされています。サンシン中の成分が大腸から吸収される際に青色色素を形成するとともに腸間膜静脈の線維性肥厚・石灰化を生じ、血流をうっ滞させると考えられています。症状は腹痛、下痢、便秘、腹部膨満感などで、無症状のこともあれば腸閉塞を呈する場合もあります。治療は軽症であれば原因となり得る漢方薬を中止することにより症状は改善します。今回の患者さんはサンシンを含む加味逍遙散を長年服用していましたが、偶然、検査の半年前から休薬していたため、そのまま経過観察としています。来月以降も何か症例があれば情報発信したいと思います。