胃カメラ191件、大腸カメラ116件でした。インフルエンザ、コロナが流行していますが、今月は発熱が理由のキャンセルが数多くありました。当クリニックもスタッフのお子様がインフルエンザにかかり、もともと少ないスタッフ数の中、さらに少ないスタッフで診療しなければいけない日もあり影響を受けました。来月の1月12日(日)に札幌市の休日当番も当たっており感染者と接する機会が増えますが、プライベートも含め院長自身が感染しないようにより一層気をつけていきたいと思います。

今月の症例は50歳台男性で軽い下痢症状があるため大腸内視鏡検査を希望し当クリニックを受診されました。

12時と4時方向に縦走する発赤所見を認める

発赤部位の近接

他部位の発赤所見

 

おおよそ全大腸に非連続的に縦走する発赤所見を認めました。間質性肺炎で治験薬を服用中であったため、「薬剤性かな?」と思いながら、念のため生検を行いました。

 

生検の結果、粘膜上皮表面に毛羽立ち状の付着物を認め、腸管スピロヘータ症と診断されました。スピロヘータは嫌気性グラム陰性らせん桿菌の Brachyspira 属の 2菌種(Brachyspira pilosicoli と Brachyspira aalborgi)によって引き起こされる人畜共通感染症です。前者はヒトの他にさまざまな動物への感染が確認されています.後者はヒトと猿にのみに感染が確認されています.感染経路は糞便を介した経口感染と推測されていますが明らかになっていません。内視鏡所見は今回のように発赤を認めるもの、びらんや潰瘍などを認めるものから粘膜面に異常を認めないものまでさまざまで腸管スピロヘータに特徴的な内視鏡所見は明らかになっていません。症状は下痢、血便、腹痛などですが、無症状のことも多いと言われています。症状のある場合には抗菌薬による治療を行いますが、無症状の場合は経過観察でよいと考えられています。今回患者さんにフラジール(一般名:メトロニダゾール)という抗菌薬を服用してもらい後日状態をお聞きしたところ、すっきりと改善はしないも多少の症状改善効果は認めたそうです。
それでは、今年もありがとうございました。2025年もよろしくお願いいたします。