胃カメラ207件、大腸カメラ137件でした。発熱などによる急なキャンセルが増えていますが、今月は当院としては多めの検査数でした。

今月は血便を主訴に来院された60歳台女性の患者さんです。1年前に子宮頸癌に対し放射線治療を受けていました。大腸内視鏡検査をおこなったところ直腸に毛細血管拡張像が多発していました。

 

結果は典型的な「放射線性腸炎」の内視鏡像でした。患者さんとご家族は放射線治療前に治療後の合併症についての説明をしっかり受けられていたため理解も早く、スムーズに通院先の大学病院に診療情報提供を行うことができました。

放射線性腸炎とは前立腺癌や子宮頸癌などの骨盤内悪性腫瘍を標的とした放射線治療の合併症です。特に直腸は影響を受けやすく、放射線性直腸炎と呼ばれます。発症時期から照射後3ヶ月以内に発症する早期障害と照射後半年から1年以上経過してから発症する晩期障害に分けられます。早期障害は下痢、粘液便、しぶり腹などがみられますが、血便は稀であり、晩期障害は早期障害と同様の症状の他に血便が最もよくみられる症状です。排便コントロールを主体とした対症療法が行われますが、出血のコントロールがつかない場合はアルゴンプラズマ凝固療法(APC)による内視鏡治療がよく用いられます。