胃カメラ196件、大腸カメラ107件でした。おかげさまでたくさんの予約を頂いておりますが、医師1人体制で丁寧に診療できる範囲で予約枠を設定しているため、お待たせしている状況です。少しでも早く検査予約が入るように検査が終わった患者さんの次回検査の間隔をおそらく他の医療機関より長くご案内しています。目安として胃カメラはピロリ菌がもとからいなく病変がない方は3年に1回、ピロリ除菌後でそれほど慢性胃炎の所見が強くない方は2年に1回、胃癌治療後やピロリ除菌後で慢性胃炎の所見が強い方は毎年という感じでご案内しております。大腸カメラもポリープの有無やポリープの内容でバリエーションはありますが、平均3年に1回程度のご案内としています。札幌市内には当院と同じように鎮静薬を使用して内視鏡検査を行うクリニックが増えてきているようですので、早急に検査をしてほしい方や年1回の定期検査希望の方などは他のクリニックや病院での検査をお勧めします。

今月は腹痛、下痢症状で受診された50歳台の女性患者さんです。上記のように当院の予約の都合と患者さんのご都合から検査日が遅くなり、初診日からおよそ2ヶ月後に大腸内視鏡検査を行いました。

S状結腸に縦走する潰瘍瘢痕所見を認める

同部位のNBI

当院初診時にはすでに休薬となっていましたが、その少し前までランソプラゾールという胃薬を服用されていたため、膠原線維性大腸炎(collagenous colitis)と考えました。生検も行いましたが、すでに薬を休薬して2ヶ月以上経過していたためか、確定診断はつきませんでした。膠原線維性大腸炎(collagenous colitis)は慢性の水様性下痢と腹痛をきたし、大腸上皮直下の膠原線維帯の肥厚を特徴とする疾患です。病因は自己免疫、遺伝的素因、感染、アレルギーなど諸説ありますが、日本では薬剤性が多く、特にランソプラゾールに関連した症例が多く報告されています。治療は薬剤の関与が疑われる場合は速やかにその薬剤を中止します。今回の症例はすでにランソプラゾールが休薬されており、大腸内視鏡検査時には自覚症状はなくなっていたため経過観察としています。