前回のブログから2ヶ月以上空いてしまいました・・・。今回は普段から慢性的に下痢の方も一度は大腸カメラを受けましょうというお話です。

慢性下痢症で多い原因は?

普段から1日に3回以上、排便をされる方がいらっしゃいます。そのような方は特に食事をするとすぐにトイレに行きたくなることが多いようです。原因はいろいろあり、何も体に異常がない方もいますが、「過敏性腸症候群」という疾患に当てはまる方が多いと思います。

過敏性腸症候群とは?

腸そのものに確認できる異常がなくても、腹痛、下痢、便秘、腹部不快感などが続く疾患で、発症にはストレスが関係しています。最近は腸内細菌の研究が進んでおり、トピックスの疾患でもあります。詳細は省略しますが、慢性の下痢で当院を受診される方の多くはこの過敏性腸症候群であり、入院が必要になるような重い病気ではないという点において安心できます。今までの経過と自覚症状から過敏性腸症候群はほぼ推測できますが、過敏性腸症候群は他に腹部症状の原因となる疾患が存在しないことが前提なので、当院では過去に一度も大腸内視鏡検査をされていない方は検査を受けてもらうことを基本としています。

大腸内視鏡検査で下痢の原因が見つかることも

過敏性腸症候群を疑ってはいるものの大腸内視鏡検査をした患者さんの多くは、予想通り大腸に他の疾患は認めず、過敏性腸症候群を裏付ける結果となります。患者さんによっては検査中の痛みを感じやすかったり、蠕動運動(ぜんどううんどう)と呼ばれる腸の動きが活発であったりすることからも過敏性腸症候群と確信をもてることもあります。ただし、稀ではありますが、他の病気が見つかることもあります。慢性の下痢では基本的に急性疾患が多い感染症は考えにくいのですが、大腸癌などが見つかることがあります。また、今回この内容のブログを書くきっかけとなったのですが、当院で最近、下痢症状で大腸内視鏡検査を行ったところ潰瘍性大腸炎という腸に炎症を起こす疾患が2人に見つかりました。潰瘍性大腸炎のほとんどは「血便」を伴うため下痢だけでは積極的に考えないことが多く、正直、今回の2人も検査前までは過敏性腸症候群と考えていました。潰瘍性大腸炎と過敏性腸症候群では薬がまったく違ってきますので、あらためて慢性下痢の患者さんに大腸内視鏡検査を勧めるスタンスでよかったと思いました。

まとめ

慢性的な下痢ないし普段から便の回数が多い方は一度、大腸内視鏡検査を受けてみましょう。