胃カメラは口からがいいのか?、鼻からがいいのか? 現時点で私の意見を書いていこうと思います。

勤務医時代(病院での検査)は口から

実は前職場では99%、口から胃カメラを行なっていました。理由は画像が高画質で病気が見つかった時に拡大機能などで詳しく観察できる、出血を止めるような緊急の事態や異物を取るなどの処置にも対応できる、検査までの準備が短くてすみ、検査中も余計な液体を吸う力(吸引力)も強く、足のスイッチで勢いよく水が出せる(送水機能)など多くのメリットがありました。
高性能の内視鏡スコープを使用するため鼻からのスコープより医者のストレスは少なく、胃癌の内視鏡治療にも同じ内視鏡スコープを使用していたため普段から慣れておきたいなどの理由もありました。通常の検査では鼻からの内視鏡はあまり必要性を感じておらず、むしろ腸閉塞などの特別な処置の時に経鼻の内視鏡が活躍していました。

開業してから(クリニックでの検査)は鼻から

当院(クリニック)では病院と違い出血などの緊急処置や胃癌などの内視鏡治療を行うことはなく、胃カメラを躊躇している患者さんにいかに楽に胃カメラを受けてもらい、病変を発見した場合、必要であれば専門病院へ紹介することが役割と考えています。
クリニックとしての役割を考えた時に鼻のカメラ(経鼻内視鏡)をメインにしていこうと考えています。

鼻から(経鼻内視鏡検査)の特徴

口(経口)の内視鏡検査にくらべて「オエッ」となりにくいことが一番のメリットです。たしかに経鼻内視鏡検査を多くするようになり患者さんが「オエッ」となる回数が明らかに少ないのを実感しています。
経口内視鏡検査では、食道に内視鏡が入る時も「オエッ」となりやすいですが、もう1箇所、奥の十二指腸に入れる時に胃を押しながら内視鏡を進める際もよく「オエッ」となりやすいです。経鼻内視鏡ではそれが起きにくいです。
経鼻内視鏡スコープは経口内視鏡スコープとくらべて細くてコシがないので、当初奥に挿入しにくいと思いましたが、経口内視鏡より十二指腸への挿入もしやすかったです。
他には検査中の唾液の量も経口とくらべて明らかに少なく、唾液で服まで汚れてしまうなどの事は経験しなくなりました。

選択の基準

胃カメラで「オエッ」なることへの不安が強く、初めて検査を受ける方は経鼻内視鏡がお勧めです。特に自覚症状がなく、定期的な健診として内視鏡検査を受ける場合も経鼻内視鏡で十分と思われます。
逆に私自身もそうですが、過去に口から胃カメラを受けてあまり辛いと思わなかった方は経口内視鏡で良いと思います。
自覚症状が強い方、タバコやお酒の量が普段から多い方、ピロリ菌除菌や胃癌の治療後の方などは内視鏡スコープが太くはなりますが、しっかり観察できる経口が望まれます。
経鼻内視鏡では病変を見逃すかもという不安を持たれる方がいるかもしれませんが、毎年検査を受けていればその年にたまたまわからなくても手遅れになることは少ないと思います。もともとピロリ菌がいない方は2年に1回でも問題ないと考えています。
組織をとって調べる生検という処置も経鼻内視鏡で十分量採取できます。前職場では検体が十分量取れるので経口でも経鼻用の生検処置具を使用していました。

その他

クリニックを開業して、あらためて経鼻内視鏡の検査前準備(前処置)を調べましたが、各施設バラバラで決まった標準的なものがない状況でした。現在、当院も麻酔のかけ方・時間などを日々検討中ですが、薬と時間を十分にかけて鼻の麻酔をするようにしてから鼻の痛みや鼻血が出る割合も減ってきています。
経口の場合は、胃粘膜の表面をきれいにする薬を飲み、喉に麻酔スプレーもしくは麻酔のゼリーを溜めるだけで各施設大きな違いはなく、準備の時間は短くて済みます。
どうしても不安が強く、以前に経鼻内視鏡でも辛かった方は眠たくなる薬(鎮静薬)を使って検査することも可能です。
鼻炎持ちの方や小顔の女性などは鼻から内視鏡が入らないこともあることはご理解ください。

まとめ

はじめて胃カメラを受けたいが不安の強い方、以前に口から胃カメラをして辛かった方などは経鼻内視鏡検査がお勧めです。以前に口から胃カメラをして辛くなかった方、ピロリ菌除菌、胃癌など治療後の方、どうせ検査をするならできるだけ念入りに観察してほしい方などは高性能な内視鏡スコープでの経口内視鏡検査がお勧めです。